写真家・篠山紀信(1940-)は、1950年代後半から現在に至るまで、「時代の映し鏡」として作家、アイドル、スポーツ選手など国内外の著名人、日本伝統芸能、ヌードと自然、都市と建築など様々なテーマで多くの作品を生み出してきました。
「現在」を写し、時代の第一線を走り続けてきた篠山紀信。本展は篠山の「写真」の芸術性を再認識するとともに、「写真」というメディアが世間に与えてきた影響を問うものでもあります。
宮沢りえを撮影した『Santa Fe』は165万部発行という空前のヒットを記録し、パノラマ写真とシノヤマを合わせた「シノラマ」といった造語や、「激写」などの流行語を生んだのも篠山でした。近年では『20XX TOKYO』の出版において各方面から議論を巻き起こし、芸術とは何か、ヌードとは何かを訴えてきました。
本展は、すでに50万人を動員し、新たな写真を加えながら常に拡大を続けています。篠山が50年にわたって撮り続けた膨大な写真の中から約130点を厳選し、「GOD」(鬼籍に入られた人々)、「STAR」(すべての人々に知られる有名人)、「SPECTACLE」(私たちを異次元に連れ出す夢の世界)、「BODY」(裸の肉体-美とエロスとの闘い)、「ACCIDENTS」(2011年3月11日-東日本大震災で被災された人々の肖像)の5つのセクションで紹介します。
被写体の何倍にも引き伸ばされた写真からは、その時代、そして被写体の持つエネルギーを感じることができるはずです。
また、世界的前衛芸術家の草間彌生や2012年に惜しまれつつこの世を去った中村勘三郎ら、松本ゆかりの人々の写真も展示します。