「森からはじまる」
眠れない夜、アトリエにいると、そこはどこかの森になる
鳥が鳴いて蕾が開いて風が吹いて葉っぱが揺れる
光がきらきらと木の間にふりそそいで花を照らす
私は自然の音に色に香に心を洗われる
昔からある森の記憶は今も私の心を離さない
恐ろしくなることもある
逃げたくなることもある
大きな自然の中で私たちはとてつもなく小さないのち
限られた時間の中でどれだけのことができるのだろう
歩いていくことは生きていくこと
出会うことは知ること
見つけることは考えること
感じることは素直になること
自然の中にいると、透明になっていく自分に気づく
自然の中でもらったひとつひとつのかけがえのない記憶と感触
そのひとカケラでも、絵の中に残したい
私にとっての絵はそんな小さな宝箱のようなものなのだと思う
大切なものを大切に
そんなシンプルな表現がしたい