「もう歴史というのはそこらじゅうにあるんですよ。歴史が僕らに語りかけてくる言葉に耳を傾ける。」
保苅実『ラディカル・オーラル・ヒストリー オーストラリア先住民アボリジニの歴史実践』より
1979年11月3日、福岡市美術館はオープンしました。開館前の紆余曲折と開館後の様々なできごとを乗り越え、今ではここに美術館があるのがあたりまえの風景が広がっています。そして40年近く走り続けたこの美術館も、2016年8月31日をもって一旦休館することになりました。2年半にわたる大規模な改修工事を経て、2019年3月にリニューアルオープンを予定しています。
本展覧会は、1979年の開館以来福岡市美術館がはじめて迎える節目のこの時期に、福岡市美術館を出発点としながら、歴史、現在、未来について考えてみようという現代美術展です。写真や映像などの記録メディアを用いたり、リサーチを元にしたり、場やそこにあるモノの特性をつかんでいくアーティスト6人とともに、37年の歴史を包み込む美術館空間とモノに注意を向け、美術館と関わってきた人たちの声に耳を傾け、現在を記録・記憶しながら、展開していきます。
※本展覧会のタイトルは、歴史学者・保苅実さんの著作より引用しています。