昨年の秋、鴻池朋子の6年ぶりの個展として開催された「根源的暴力」は、人間の思索や現象のみに閉じてしまっているアートに強い意識改革を求め、芸術の始まりに立ち戻って人間がものをつくることを問い直す試みとして、多くの反響を呼びました。それはまさに、人間を含めた自然という概念について再考をせまるもので、特に皮を縫い合わせた支持体に天変地異、臓器、動植物を描いた幅24メートルに及ぶ《皮緞帳》は、観客の心身を奮わせ強く記憶に残るものとなりました。本展では、さらに加筆され生々しく変容を続ける《皮緞帳》をはじめ、新作を交えて、全く新たなるインスタレーションに挑む姿をご覧いただきます。地球の振動を感じた鴻池が「もはやおなじものではいられない」、と、語るように。