大正から昭和にかけ近代化が進む東京では、伝統的な慣わしは徐々に忘れられつつありましたが、新春は晴着に日本髪を結った多くの女性が街を歩く光景があたりまえでした。
鏑木清方は、季節のうつろいに合わせ、佇まいを変える市井の人々の暮らしに題材を求め、正月を祝う街の人々の姿を日本画作品にあらわしています。そして、展覧会で話題になった作品は、押絵師により意匠化され、押絵羽子板になることもありました。
本企画展では清方が描いた新春の風景とともに名押絵師・永井周山によって意匠化された羽子板《明治風俗十二ヶ月》を紹介いたします。