伊東深水(1898-1972)は、東京の深川に生まれ、1911(明治44)年、鏑木清方に入門、1916(大正5)年、当時流行していた版画家が下絵から彫刻、摺刷の全工程を手がけるべきとする「創作版画」運動の流行に対抗し、「新版画」運動に参加しました。浮世絵の伝統に立ちながら、理想化された美人ではなく各時代の風俗を取り入れた女性像を描きました。「対鏡」(1916)、《新美人十二姿》(1922-23)などの美人画で人気を集めながら、風景画においても《近江八景の内》(1917-18)など、多くの優れた作品を生みだしました。本展覧会では、夏らしい深水の美人画を中心に、風景画も併せて展示致します。深水の版画芸術の世界をご堪能下さい。