髙木修(1944年生まれ)は、立体造形を中心とした制作で活躍している美術家です。1970年代以降、高松次郎の主宰した「塾」に学ぶと同時に、哲学者の市川浩にも師事しました。その創作活動は現在に至るまで一貫して、人間の身体感覚で周囲の環境をとらえ、空間を意識的に現出させようとするものです。その場には見えないのに、建築あるいは庭園のような広々とした空間を感じさせる、そんな魅力的な作品が多数あります。創作活動をとおして、人間と世界との関係を考え続けている美術家とも言えましょう。
編集者から造形表現の世界へ転身した経歴を持つ髙木修の仕事は、立体造形のみならず、パフォーマンスや写真、さらに映画評論と、幅広くしなやかに展開されています。
本展は、《特異な空間へ》(1984年、東京国立近代美術館蔵)、《Rの構造》(1984年、栃木県立美術館蔵)等の代表作をはじめとした立体作品と、1970年代の<グループ361°>のパフォーマンス写真などの約80点で構成し、栃木県茂木町出身の美術家の全貌を初めて紹介するものです。