デトロイト美術館(Detroit Institute of Arts, 通称DIA)は1885年に創立以来、自動車産業の繁栄のもと、着実にコレクションを形成してきました。現在では古代エジプト美術から現代美術にいたる幅広いコレクションで知られ、アメリカ合衆国を代表する美術館の一つです。アメリカの公立美術館として初めてゴッホやマティスの作品を購入したのもデトロイト美術館でした。 本展覧会は65,000点を超えるデトロイト美術館のコレクションの中から、珠玉の52点を紹介するものです。出品作品の約半数に及ぶモネやドガ、ルノワールなどの印象派やゴッホやセザンヌ、ゴーギャンらポスト印象派の作品が注目の的になることでしょう。しかしそれだけでなくポスト印象派から刺激を受け、鮮やかな色使いや大胆な筆致が特徴のマティスやルオーなどのフォーヴィスム、ボナール、ドニらナビ派の絵画、さらには20世紀の美術を語るうえで欠かすことはできないピカソに代表されるキュビスム、エコール・ド・パリのモディリアーニやスーティン、加えてドイツ表現主義の作家たちの作品が一堂に会します。19世紀後半から20世紀前半にいたる美術の潮流を俯瞰できるような構成はデトロイト美術館の充実したコレクションゆえに実現したといえるでしょう。またピカソの《マヌエル・パリャレスの肖像》(1909)、《読書する女性》(1938)をはじめとする15作品が日本で初公開される貴重な機会でもあります。 なお本展はデトロイト市と豊田市の姉妹都市提携55周年記念事業として、さらに豊田市美術館開館20周年・リニューアルオープン記念として開催されるものです。