桃山時代の武将茶人・古田織部は、千利休亡き後に茶の湯界のリーダーとなります。侘び茶を極めた師・利休とは対照的に、慶長年間(1596-1615)の華やかな時代の中で大胆奇抜な造形性と斬新な美を創出し、日本の文化史上最も豪壮華麗な桃山文化を彩ります。特にやきものの分野では自身の名前を冠する「織部焼」が生み出され、「織部好み」と呼ばれたゆがんだ茶碗や新奇な意匠が、都市の富裕層を中心に爆発的な流行を見ます。そのユニークなデザイン性に富んだ織部の世界観は、現代の私たちの感性にも響くはずです。
本展では、2015年に没後400年を迎える古田織部ゆかりの作品を中心に、織部が駆け抜けた時代を象徴する歴史資料から、“へうげた”茶の湯の名品の数々を余す所なくお楽しみいただきます。激動の時代を生き抜き、天下一の茶の湯名人として独自の美意識を生み出した古田織部の人物像とその創意に迫ります。