土門拳は、1923(大正12)年14歳で神奈川県立第二横浜中学校(現 県立横浜翠嵐高校)に入学しました。中学時代の土門拳は、絵に深い興味と関心を持つ画家志望の学生でしたが、絵に負けず劣らず熱中したものに考古学があります。
横浜二中のまわりからは、縄文・弥生時代の遺物が多く発見され、中学生の土門拳は土器や、やじりなどの発掘に夢中になりました。
今回展示する作品は、1963年及び1964年に雑誌『太陽』誌上で「ゾウを追ってきた原人」「日本人のあけぼの」として発表された作品です。それらはまとめて1966年、平凡社から「日本人の原像」として刊行されました。
すでに、50歳代半ばとなり、写真家として活躍していた土門拳ですが、少年の日に芽生えた考古学への情熱が結実した作品といえるでしょう。
旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代…、われわれ日本人の遠い祖先が残した遺物が、古代のロマンにいざないます。