故郷ヴィテブスクを飛び出し、20世紀を代表する芸術家となったマルク・シャガール(1887-1985)。彼は自らの作品によって、あるいは言葉によって、世界中の人々に数多くのことを語りかけました。自分のこと、家族のこと、友人のこと、愛する人のこと、自分の住む世界のこと―。それは、時には無邪気な語りかけであり、時には戦略的な主張であり、時には人々へ訴えかける魂の叫びでした。私たちは、彼のメッセージの一つ一つに驚き、興奮し、恐怖を抱き、親しみを覚えました。彼が亡くなって30年の月日が経とうとしている今日でも、彼の作品は新たな衝撃と喜び、幸福感を私たちにもたらし続けています。
また、シャガールや彼の作品を巡っては、友人、恋人、詩人や批評家など、数多くの人々が言葉を残しています。シャガールを語るこれらの言葉は、「愛と幻想の画家」、「色彩の詩人」といった私たちにおなじみのシャガールにとどまらない、新たな発見をもたらしてくれます。本展では、油彩、版画、ポスターなど、300点を超える当館のマルク・シャガールコレクションを、作品を巡る数々の対話を読み解きながらご紹介します。ご家族やご友人と語らいながら見るもよし、作品を通じて詩人たちとの対話を楽しむもよし、そうした一切の言葉を排してシャガールの作品と一対一で向き合うもよし。作品を巡る対話を通じて、シャガールを語るあなた自身の言葉を探してみて下さい。