宮沢賢治の生涯は、1896(明治29)年から1933(昭和8)年までのわずか37年間の短いもので、そのほとんどを生まれ育った岩手県で過ごし、農業の指導を主とする「科学者(サイエンチスト)」として活動しました。
その一方で宗教や芸術についても深い思索を重ねていた宮沢賢治は、わきあがってくる自身の思想を詩や童話にして表現し、音楽や絵を描くことについても強い関心をもち続けました。
生前に発表された作品は限られたものでしたが、遺された原稿も理解者の尽力によって日の目を見、それらの作品は没後80年たった今も、私たちに感動をあたえ、人と自然との関係や、人の生き方について考えさせられるものとなっています。また宮沢賢治の作品に触発されて制作をおこなった後世の芸術家も少なくありません。
宮沢賢治の文学と、それにインスピレーションを受けて生まれた作品の世界とを、この展覧会によってご紹介したいと思います。