俳優、作家、ミュージシャンなど、時代を彩る様々なスターたちを描いてきた横尾忠則。
多彩なポートレイトの数々は、その華やかな交流の一端を垣間見せてくれます。横尾は彼らを作品として描き出すと同時に、その多くとプライヴェートな関係を築いてきました。描かれた人物の大半は、写真や絵画など既存のイメージの流用あるいは模写でありながら、そこに横尾自身のイマジネーションや私的な物語が加わることで、人物は特異なイコンに昇華されていると言えるでしょう。
本展では、様々なメディアを横断した膨大な仕事の中から、1960年代から今日に至るまでのポートレイト作品に焦点を当て、絵画を中心に、イラストレーション、デザイン原稿、ポスター、版画などを展示します。
さらに今回、数年来制作が続けられてきた最新作、日本近代文学者の肖像シリーズ約222点と、その制作の契機となった瀬戸内寂聴『奇縁まんだら』挿画を合わせて展示し、横尾によるポートレイト制作の新たな展開を紹介します。