デミタスは、食後に深く濃い味わいのコーヒーを飲むための、フランス語で半分のカップを意味する小ぶりの器のことです。どれも一様に、掌にすっぽりと収まるほどの愛らしき大きさにもかかわらず、形状、加飾とも驚く程に多彩であり、これこそがデミタスの魅力といえます。それは、各窯、各時代の様式的な特色のみならず、この小さな器に視線が注がれるよう、さまざまな工夫がなされているからではないでしょうか。本展覧会では、18世紀から20世紀初頭のマイセンやセーヴル、ミントン、ロイヤルウースター、ロイヤルクラウンダービー、コールポート、そして日本の錦光山など、東京在住の鈴木康裕・登美子夫妻が40年にわたり1点ずつ収集された、優雅で愛らしく、宝石のきらめきをもつデミタスを一堂に紹介します。