広重は、歴史の中で鎖国から解放され西洋への扉を開いた、非常に面白い時代に活動していました。彼の『名所江戸百景』は、西洋の脅威による変革と伝統的な日本との間にある重要な拠点であった「江戸」という1つの都市を捉えています。
本展、「東京ストーリー/アフター広重」では、広重晩年の傑作『名所江戸百景』と、エミリー・オールチャーチの広重へのオマージュ作品をご紹介します。オールチャーチは『名所江戸百景』のシーンとなった場所を実際に訪れ、その背景をモチーフとして現代の風景画を作り上げています。広重の『名所江戸百景』が、日本の歴史における決定的瞬間を記してきたように、オールチャーチの東京ストーリーは、現代の都市の本質を象徴しているのかもしれません。
併せて、2013年4月、彼女が静岡市に滞在し、広重の東海道五拾三次之内をテーマに制作した新作『Tokaido Road‐Yui, Mariko』も発表します。