ピカソ、マティス、梅原龍三郎、林武… パレットに残る画家たちの息づかいに触れる
普段、画家たちが描いた絵を目にすることはありますが、制作に使用する道具はめったに見ることはありません。画家が絵の具を絞り出し、色を作り出していく“パレット”もそのひとつです。古くから絵の具の性質や技法によって、様々なものが使用されてきましたが、材質や形はもちろん、絵の具の量や置き方、色の配列など、パレットには画家それぞれの色彩感覚や個性が如実に表れます。パレットは常に画家と絵の狭間にあって、切っても切れない関係なのです。
約2,200点のコレクションをもつ笠間日動美術館 (茨城県笠間市)。そのなかには、世界的にも珍しいといわれる、実際に画家が使用した約350点に及ぶパレットコレクションがあります。そのほとんどのパレットにはその画家の好むモチーフが描かれ、小品ながらも楽しい展示物として親しまれていますが、長年使いこまれたパレットの絵の具や筆使いの跡からは、画家が作品に注いだ情熱や、制作の秘密までもが垣間見えてきます。
本展では、そのコレクションのなかから、ピカソやマティスといった外国の著名な画家たちや、梅原龍三郎や林武をはじめ、福岡県ゆかりの中村琢二や大内田茂士、織田廣喜などの日本洋画界の巨匠たちのパレットと作品をあわせてご紹介します。また、この筑豊の地で現在も精力的に活躍している是澤清一 (田川市) や、日賀野兼一 (飯塚市) などの地元作家のパレットと作品もあわせて展示します。
数々の名作が生み出されたパレットと殊玉の作品とを見比べてみることで、今まで絵をみるだけでは気が付かなかった魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。