原六郎(1842-1933)は、明治時代に鉄道や銀行等の分野で産業振興に活躍し、日本の近代化に貢献した実業家です。若くして英米に留学し、西洋の文物に通じる一方、古美術にも造詣が深く、日本・東洋の優れた作品を数多く収集しました。
コレクションを代表する作品は、中国から伝来した青磁花瓶の白眉と評される「青磁下蕪花瓶」(国宝)です。淡い青色の釉薬、滑らかな肌合いと柔らかな丸みが調和した美しさが魅了されるところです。
絵画は、雪村や狩野永徳らの水墨表現の妙、そして、浮世絵美人図の先駆けと位置づけられる「縄暖簾図屏風」(重要文化財)、伝蛇足「霊昭女図」など、さまざまな眼差しで見つめられてきた人物の表現が見どころとなります。また、円山応挙の「淀川両岸図巻」は、独特な視覚による空間表現と川辺の暮らしを捉えた精緻な描写が鑑賞への好奇心を高めることでしょう。
国宝、重要文化財をはじめ、原六郎コレクションの名品として知られる作品が勢ぞろいします。ぜひご堪能ください。