キュビスムの例をあげるまでもなく、「美術」という現象は、作る人(アーティスト)、語る人(評論家、ジャーナリスト)、知らせる人(ギャラリスト、プロデューサー)によって成り立っていると思う。どれが欠けても歴史や社会の俎上に表現をあげることはできない。今回の試みは、学生たちにこのことを体感してもらい将来へと繋げたいという造形大の近藤さんと私の願いがこもっている。作る側は造形大、語る側は慶應が担当し藍画廊とギャラリー現のご指導のもと展覧会を作ってみたい。
慶應義塾大学美学美術史学専攻教授 近藤 幸夫
今回のこの企画は、東京造形大学の教員である私がセレクトした4人と、慶應義塾大学の近藤幸夫ゼミナールの学生とを、一人ずつ組ませて作品と批評の相関を生み出そうという企画である。「UNKNOWNS」というタイトルどおり、両大学の学生達は、やっとそのスタートラインに立とうとする者たちである。絵画作品と批評は不可分なものであるが、同世代の制作をする者と美学美術史を学ぶ者が相互に刺激し合いながら、対峙した作品と批評とを同じ空間に投げ出す時、なにがしかの化学反応が起きることを期待して、今展を企画した。
東京造形大学絵画専攻教授 近藤 昌美