彫刻家・大平龍一、その表現に秘められた世界を探る新旧作50点あまりの作品群によって構成される大規模な個展「ぼうけんやろう」を開催します。大平の多くの作品は作品の設置場所や地域に流れる目には見えない力を顕在化させるもので、木彫による作品を中心に、時には大掛かりな機械を用いて、鑑賞者の意識を揺り動かします。人々の心と意識を動かす装置となる作品が表現するものは、‘かたちの無いもの’や‘存在していても認識されにくいもの’、‘感じにくいもの’たちです。新作では現在大平が関心を寄せる‘行きにくい場所’、‘秘境’を作品化。さらに、平成22、23年度に当館で開催したワークショップにて市民参加者から集めた一人ひとりの‘願い’をカタチにした《ツルオカミサマ》。そして、滝をモチーフに40万枚を超える五円玉を使った実験的インスタレーションなどを巡る、一大アドベンチャーが始まります。私たちは今どこにいて、どこへ向かおうとしているのでしょうか。‘秘境’になった美術館はわたしたちの生きる社会や環境に小さな気づきを与えてくれるでしょう。