1920年代を中心にしたアール・デコの時代、電気照明の光彩を活かしたモダンなインテリアが人々の暮らしをより豊かなものへと変化させました。
1878年の白熱電球の発明以来、一般家庭にも普及した電気照明器具は、直線と立体の知的な構成を特徴とするアール・デコという美術様式に出会い、新しいラグジュアリーの概念を誕生させたのです。
本展では、パート・ド・ヴェール技法によるカラフルなガラス照明器具をプロローグに陶磁・ガラス・金属・木・漆・石といった素材がみせるマチエールの魅力をシックに調和させたサロンのインテリア照明や、ルネ・ラリックをはじめとするダイニング・ルームにおけるモノトーンの壮麗な光の空間演出、そしてエピローグとしては躍動感にあふれたアール・デコ期の社会を象徴する光とスピードをモチーフとしたオブジェやグラフィックなど、アール・デコの光のエレガンスをご堪能いただける約110作品を、ドーム、国立セーヴル製陶所、ラリックといったアーティストが手がけた、デザイン性豊かな照明器具によるサロンやテーブル・セッティングの再現コーナーも交えて、4部構成の展示で紹介します。
硬質で眩しい電気照明を、優れた芸術感覚によって生活の中に取り入れた、20世紀初頭の知恵とセンスに出会う新しい体験です。