美術史の上でフランドルという場合、ほぼ現在のベルギーをさします。その中心都市アントワープは16世紀頃から、ヨーロッパの文化の中心的な存在でもありました。ここを活躍の場とした代表的な画家が、ピーテル・ブリューゲル(父)とペーテル・パウル・ルーベンスです。
農民画家と呼ばれるブリューゲルが登場したのは16世紀の中頃です。農村の生活を描き、風俗画や風景画に影響を与えていきます。二人の息子ピーテル(子)とヤンも彼の画風を受け継ぎ、工房で多くの作品を生み出しました。
ルーベンスは17世紀はじめ頃に登場します。バロック美術最大の巨匠といわれるルーベンスは、動的で壮大な画面の作品により、多彩な活動を見せました。彼の工房からは、肖像画で知られるアントーン・ヴァン・ダイクや風俗画で知られるヤコブ・ヨルダーンスが出ています。
この展覧会では、ピーテル(子)とヤンをはじめとするブリューゲル一族やルーベンス、ヴァン・ダイク、ヨルダーンス等、フランドル絵画の黄金時代を築いた巨匠たちの名品を紹介します。