1961(昭和36)年、大分に生まれた赤木範陸は、東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業、更に同大学院の技法材料研究室で学んだ後、ドイツ学術交流会給付生としてミュンヘン国立美術アカデミーで教会美術を研究します。1995(平成7)年には、ドイツ政府からケンイあるマイスター及びマイスターシューラーの称号を受け、画家として認められ、後進を指導することを許可されました。
赤木範陸は、あえて油彩やアクリルといった技法を使用せず、古代から中世にかけて使われたテンペラや焼付け蝋画法(エンコスティック)に注目、その扱いの困難な技法を新しい表現方法として用いています。そして、これら忘れ去られた古典技法を錬金術師のように駆使しながら、生と死、人と自然、芸術と日常を結びつける思索の表象として、独自の絵画世界を築いています。
東京藝術大学在学中の作品から新作までの代表作約120点を集めた今展は、21世紀を迎えた今年、赤木範陸の初の本格的個展になるとともに、絵画表現の新たな道を示唆する重要な展覧会になることでしょう。