中国の近現代に活躍した呉昌碩(ごしょうせき)、斉白石(せいはくせき)、高剣父(こうけんぷ)、徐悲鴻(じょひこう)、劉海粟(りゅうかいぞく)、黄賓虹(こうひんこう)等の絵画作品を、当館が近年受贈した須磨コレクションを中心に、国内外の名品を集めて展示し、その多彩な展開を追います。
アヘン戦争に始まる西洋の近代物質文明の衝撃は、旧態依然とした中国の社会全体を揺さぶり、変革を促しました。そうした中で中国が近代化の身近な手本としたのが、隣国の日本でした。
画壇の近代化においても日本の果たした役割を無視することはできません。
陳師曾(ちんしそう)、高剣父をはじめ、後に改革のリーダーとなった画家たちの多くは、日本に遊学し、日本の画家たちと交流して、啓発され、改革を推進してゆきます。彼らが、伝統を保持しつつ、新たな造形美を創造する上で、日本の近代絵画を大いに参考にしていることは注目に値します。
また、国画(こくが)の巨匠、呉昌碩、斉白石等への国際的な評価の形成にも日本の観賞界が寄与しています。
この展覧会をとおして近代における日中文化交流の一端をご理解いただければ幸いです。