大和路という言葉には、なにかしら、独特の響きがあるのではないでしょうか。
かつての都、奈良を中心とした大和の地は、時代とともに穏やかな移り変わりを経つつも、そこには、大和の風物とともに生きてきた人々の暮らしがありました。大和路の風景は、あちこちに残されている日本の原風景の象徴と言えるかもしれません。
杉本画伯は、寺院や仏はもちろんのことですが、それと同様に、あるいはそれ以上に奈良、大和の風物に魅せられ、描き続けて来ました。たとえば杉本画伯の描く寺の風景は、寺の写生というより、寺のある里の風景であることが多いのです。
杉本画伯の描く絵におだやかな心の安らぎを感じる方が多いのも、そこに心のふるさとを思い起こすものがあるからではないかと思います。
新年のえとである、うさぎ年にちなんだ特別企画「うさぎ」でご紹介する、うさぎにちなんだ作品の数々とともに、杉本画伯が魅せられ、描いた奈良や大和の写生の数々を心ゆくまでご鑑賞いただければと思います。