上方浮世絵館で展示する浮世絵は、江戸時代の後半から明治初期にかけて、大阪で制作された浮世絵です。大阪の浮世絵は、歌舞伎芝居に出演する役者たちを描いたものがほとんどであることが特徴です。
歌舞伎芝居には、さまざまなストーリーや人間模様がおり込まれていますが、奇妙な生物や変身変化、あるいは霊験奇譚に怨霊など、現実離れした設定も登場します。当時の人々の空想世界が、歌舞伎の世界へ取り入れられ、舞台の上へ工夫されました。
今回の展示では、そんな異世界をみせる芝居に注目します。浮世絵には、変幻自在に不思議の世界を演出した様子が描かれます。浮世絵がもつ表現の魅力とともに、歌舞伎のエンターテイメント性を、どうぞご覧ください。