岡本健彦(おかもと・たけひこ)は、1934(昭和9)年、神奈川県横須賀市に生まれました。横須賀高校時代から画家・川端実のアトリエに通い、卒業後は多摩美術大学で学びます。
63年、当時世界の芸術の中心地だったニューヨークに渡り、ジャスパー・ジョーンズやフランク・ステラ、あるいは荒川修作や河原温らとの交流のなかで最先端の動向を吸収しながら、シェイプト・カンヴァス(変形カンヴァス)による表現を追求しました。
68年の帰国後は福島と東京に住み、80年代を通じてアクリル板に着色したレリーフ状の作品を発表します。これは絵具をカンヴァスという支持体から解放し、色彩それ自体を提示しようとする試みでした。
90(平成2)年、高崎芸術短期大学教授に就任したことをきっかけに、92年、群馬県多野郡吉井町(現・高崎市)にスタジオ兼住居を構え、以後、ここ群馬の地で、合板や金属を半立体的に組み合わせるなど絵画を解体し再構成する試みを、現在まで旺盛に続けています。
この展覧会は、半世紀以上にわたる岡本健彦の作家活動の全貌を、最新作を含めてご紹介する、はじめての機会となります。横須賀、ニューヨーク、福島、東京、高崎と、制作場所を移すたびに表現スタイルを大きく展開させてきた岡本の多彩な作品を、どうぞご覧ください。