デイヴィッド・ホックニー(1937-)はイギリスの現代芸術を代表する一人です。1960年代以降、絵画に限らず、写真やポスター、版画、舞台美術など様々なジャンルに取り組み、活躍の場を広げてきました。現在はアメリカの詩人ウォレス・スティーブンスが書いた詩集「青いギターをもつ男」にホックニーの銅版画による挿絵をつけて出版されたものです。
ホックニーの銅版画にはギターや楽譜、ドラ・マールの肖像などピカソの作品があちこちに登場します。彼は尊敬するピカソの作品を簡略に写し取り、その中に自信が考え出した芸術的意匠を散りばめ、独自の想像世界を広げています。1973年尊敬するピカソが逝った時、ホックニーは、深い悲しみの中で、ピカソの「老いたギタリスト」への敬意を表してブルーギターの詩画集を制作しました。ブルーギターが奏でる曲は、ピカソへのオマージュ(敬意)であり、「あるがままの世界」へと続く想像力を奏でています。本展では、ホックニーのピカソへのオマージュと彼の独自の想像世界を作品の中に見いだしていただければ幸いです。