ヨーロッパ絵画には女性が数多く描かれてきました。神話やキリスト教の主題をもとにした作品では、聖母マリアとイエス像は盛んに描かれました。こうした女性像は、中世、ルネサンスを経て17世紀、18世紀のバロック・ロココ様式の移り変わりとともに変遷し、聖母マリアも、それまでの礼拝図的な描かれ方から理想の女性像として描かれ脚光を浴びました。さらに19世紀以降は、風俗的な描写とともに一般女性の逞しさや普遍的な情愛あふれる様子が描かれるようになっていきました。
この展覧会では、ヨーロッパ絵画の400年における歴史の中で、カンヴァスに描かれた女性たちに焦点をあてます。ポーランド・ワルシャワにあるヨハネ・パウロⅡ世美術館の所蔵品から61点を選りすぐり、イタリア・ルネサンス期のティントレットからレンブラント、ヴァン・ダイク、ゴヤ、コローらの巨匠たちが描く聖母子像や神話と伝説、気品を漂わせた貴婦人の肖像画など、個性的で豊かに彩られた女性表現の変遷を紹介します。