西暦79年8月24日、ヴェスヴィオ山の大噴火によって、厚い火山灰の下に埋没したポンペイ。しかし、このポンペイは突然の災厄により、古代ローマ帝国の人々の暮らしをほぼ完全な姿で閉じ込めたタイムカプセルとなったのです。18世紀以来、あきらかにされてきた街の様子は、大噴火に見舞われた悲劇の姿ではなく、優れた文化や芸術が花開き、豊かな自然の恵みを享受する人々の姿でした。
本展は、ナポリ国立考古学博物館の全面的な協力により、ポンペイからの出土品を中心に、日本初公開を含む壁画・彫刻などおよそ250点を紹介します。なかでも、ポンペイ郊外の別荘から出土した大理石の浴槽と追いだきのできる驚くべき給湯システム、イタリア国外では初公開となる約60点の銀食器セット、家々を美しく飾った壁画、祈りをささげた神々の彫像は見どころです。
また、日本のポンペイ調査チームが発掘した噴火犠牲者の型取りと遺品をあわせて展示し、その成果を紹介します。はるか二千年もの昔、日本列島が弥生時代であったころ。高度に発達した古代ローマ文明のすべてが凝縮された「奇跡の街」ポンペイが、ここに甦ります。