中国からもたらされた屏風は調度品として用いられる一方,絵画としても日本独自の展開を見せてきました。桃山文化を代表する豪華絢爛な金屏風は,その装飾性が大いにもてはやされ,2枚1組で飾る一双の屏風は,左右で呼応する画面構成やダイナミックに広がる豊かな絵画空間を生み出しました。さらに,折り曲げることで生まれる奥行きと動きのある屏風独特の空間は,他の絵画にない大きな魅力となっています。今でも,これら屏風のもつ魅力は日本画家の創作意欲をかき立て,伝統に立脚しながらも西洋の写実主義やモダニズム絵画の影響,そして画家たちの優れた構成力によってこれまでにない多彩で個性的な屏風絵が描かれています。
この展覧会では,下村観山,菱田春草ら五浦の作家から,森田曠平,加倉井和夫ら現代の日本画家までの屏風作品 17点によってその煌めく絵画世界を展観します。