宮城県出身の佐藤忠良(さとう ちゅうりょう 1912~)は、東京美術学校在学中から国画会展に出品し、1939年、新制作派協会の彫刻部創立に参加しました。しかし1944年に召集され、終戦から3年間のシベリア抑留を経験します。帰国後は新制作展を中心に活動を続け、1981年にはパリのロダン美術館で個展を開催するなど、その作品は内外で高く評価されています。
初期の「群馬の人」に見られる日本の風土に根ざした強い生命力と精神性をとらえた頭像や、「帽子・夏」をはじめとする1970年代の〈帽子〉の連作で表現された現代的な女性像、わが子や孫などをモデルにした子どもの像など、表現やモチーフは変わっても佐藤は一貫して人間を見つめて制作してきました。造形への厳しい眼差しによる抑制された表現の中にも豊かな詩情が溢れるこれらの作品からは、人間に対する深い愛情が感じられます。
全国4会場を巡回する本展覧会では、宮城県美術館 佐藤忠良記念館のコレクションより、初期から現在に至るまでの50余点の彫刻作品に素描を交えて展示し、戦後日本の具象彫刻界を代表する佐藤忠良の足跡を紹介します。