戦前・戦中期に日本版画協会の会員によって作られた木版画のカレンダーを特集展示しています。
1936(昭和11)年から毎月ことなる版画家が担当して制作されたもので、季節の行事や風物など描かれる題材や、暦の文字のレイアウトなどにも作者の個性があらわれ、楽しい魅力にあふれています。
画面の真ん中には折れ線があり、二つ折りして郵送されてきたことがうかがえます。戦局が厳しくなった1943-44(昭和18-19)年には、カレンダーの画題も時勢を反映したものが多くなり、版木や用紙、郵送資材が欠乏していることを事務担当の平塚運一が書いています。1944(昭和19)年には資材不足のため2ヶ月分または3ヶ月分まとめて発送するなどの苦労がありましたが、同年に警視庁特高課からの要請で廃止となりました。
この度は1936-44(昭和11-19)年のカレンダーのなかから35点を展示しています。
同時開催
「物語をつむぐ絵」
物語のなかの一場面が描かれているかのような、見るものの想像力をかきたてる作品を特集しています。