兵庫県たつの市立龍野歴史文化資料館には旗本浅野家に関する古文書「若狭野浅野家資料」が所蔵されています。旗本浅野家は、現在の兵庫県相生市若狭野に陣屋を構えていた大身旗本で(知行3000石)、あの元禄赤穂事件で著名な赤穂浅野家の分家です。しかも、赤穂事件の立て役者大石良雄の父の従弟長恒が浅野家の養子となって成立した旗本でもありました。同家は、こうした来歴から赤穂浅野家から特に重んじられ、赤穂本家改易後に同家の事後処理を担い、その文書などを引き継ぐこととなりました。よって「若狭野浅野家資料」には、江戸文化を語るうえで見逃せない赤穂事件関連の古文書が多く伝存することとなりました。
江戸東京博物館では龍野歴史文化資料館の協力を得て、平成20年度からこの赤穂事件と関わりの深い「若狭野浅野家資料」の調査を進めてきました。その成果を平成21年度企画展「旗本がみた忠臣蔵―若狭野浅野家三千石の軌跡―」と題して展示します。忠臣蔵人気に沸く世相を横目にしつつ、赤穂主従を静かに回向し続けた、旗本若狭野浅野家三千石の軌跡をご覧下さい。