パリの画家、アンリ・リヴィエール(1864-1951)は、19世紀末のジャポニスムに深く影響を受けた芸術家です。ゴッホやモネなど、日本の美術に傾倒した印象派の画家たちは数多くいましたが、リヴィエールは浮世絵を研究し、木版画を制作するための道具まで自ら考案し、絵師、堀師、摺師の仕事をひとりで行いました。
北斎や広重など、浮世絵の風景画に心酔したリヴィエールは、ブルターニュ地方の海辺に別荘を構え、大いなる自然の美しさと、自然と調和して生きている人々の暮らしを、水彩画や版画に描きました。波や雲、雪、雨、虹など明るく美しい色彩で描いた作風は、東洋人である私たちにとっても親しく、懐かしい感覚を呼び起こしてくれます。
2006年、アトリエに保存されていた数々の作品と、リヴィエールが生前コレクションした浮世絵がフランス国立図書館に所蔵され、日本とフランスの芸術交流の一環として、このコレクションの初来日が決定いたしました。
本展は、エッチング、木版画、リトグラフ、ヴィンテージ写真、水彩画など約130点の作品と資料により、リヴィエールの全生涯を紹介する世界初の回顧展となります。
また、リヴィエールの残した浮世絵コレクションや近代日本の版画など約70点の作品、資料により、リヴィエールにとっての日本、そして、リヴィエールが日本美術に与えた影響についても考察します。