本展で紹介する現代美術の作品には、図らずもある共通点があるように思われます。当館のメインコレクションである諷刺画ともジャンルを超えて通じ合う、通奏低音のような響き。一体それが何なのか。その疑問が本展の端緒でした。
制作に真摯であること。そして倦むことなくつくり続ける姿勢。そこには制作と日常とが限りなく同化しているさまを見出すことができます。さらに見る者の世界を揺らがすような喚起力、いわば意識の転換装置のような不思議な魅力があるのです。
それらは決して一過性の思いつきから生じるものではありません。時流に流されることなく、ひたすら独自の道を模索し続ける営為なしには成立しえない表現なのです。情報が氾濫し、ともすれば効率のみを優先してしまう現代であるからこそ、改めてそういう作り手の声に耳を傾けるべきではないでしょうか。
「あなたにとって、作品をつくるとはどういうことですか?」 ・・・あまりにも根源的で、返答に窮する問いであることは重々承知しています。しかし、それでも構わないのです。求められているのは予定調和的な答えではなく、逡巡しつつ問い続ける姿勢そのものなのですから。容易に答えの得られない質問こそが、逆説的に実り豊かな作品との対話をうながしてくれるのではないでしょうか。