夏から秋にかけて毎年のように話題になるスズメバチ。人の命をも奪いかねない強力な毒を持ち、攻撃性も強く、巣に危険を感じた時などは、集団で人を襲うこともあります。人が暮らす住宅地でも営巣するものもあり、近年、人々との摩擦が絶えません。
しかし、スズメバチはただ恐ろしいだけの昆虫ではありません。皆さんはスズメバチの巣の表面がきれいな縞模様になっている理由をご存知でしょうか? 秋には数百匹の働きバチでごった返す巣が、厳しい冬を生き抜いた一匹の女王バチの孤独な巣づくりから始まることをご存知ですか?力強い体のつくり、情報伝達能力、巣づくり、子育て、社会生活、種ごとに異なる生態や種間関係など、スズメバチは大変に魅力的で興味深い昆虫です。
また、スズメバチは大きな巣を養うために多くの昆虫を狩ります。一部の昆虫が過剰に発生するようなことを抑制し、生態系のバランスを保つ重要な役割も持っているのです。
この展示では、日本にすむスズメバチ属全種の標本を集めました。豊富な標本と写真をもとに、スズメバチの興味深い生態を紹介します。日頃間近に観察する機会が少ないスズメバチについて少しでも関心を持っていただければ幸いです。「怖いもの見たさ」でお越し下さい。