「Batik(バティック)」は、蝋による防染を繰り返して複雑な文様を染め上げていく臈纈染のことで、日本では「インドネシア更紗」と呼ばれて親しまれてきました。インドネシアでは古くから、言語や社会、生活様式が異なる300以上の民族集団の独特な文化に外来文化が融合し、多様で豊かな文化が形成されてきました。そして、このような諸地域の文化的特色、生活とが密接に結びついて地域ごとに個性的なバティックを生み出してきました。
本展は、バティックの歴史とその魅力を広く紹介するもので、アジア地域研究を専門とされる国士舘大学教授戸津正勝氏の、30年に及ぶ膨大なコレクションから約350点を展示します。国交50周年を迎え、王宮及び現代作家、研究者をはじめとするインドネシア共和国諸機関の協力を得つつ、国内全域を網羅し、古い伝世品から現代の新進作家の作品まで、空前の規模でバティックを語る、まさにバティック決定版といえるでしょう。