私たちの眼の前に垂直に立ち上がる壁。私たちの足下に水平に広がる大地。「壁-面」と「地-面」、これらふたつの「平面」は、私たちが世界のなかで自らの位置を定め、あるいは世界を認識するための基盤となるものです。
ここに、第三の「平面」を展開させてみましょう。すなわち、絵画、写真、版画といった、美術表現における「平面」です。この第三の「平面」は、ときに世界を映し出す透明なスクリーンのようなものとして、またときに世界をマッピングする不透明な作業台のようなものとして、私たちの眼前に出現します。
では、壁と大地というふたつの「平面」は、絵画、写真、版画といった第三の「平面」の上に、どのように表現されてきたのでしょう。荒川修作、北脇昇、佐伯祐三、白髪一雄、堂本尚郎、松江泰治、ジャン・デュビュッフェなど、当館コレクションを中心とした約30点の作品を、「壁」と「大地」という視点から読み解きます。