美術の歴史に一大革命をもたらした天才、パブロ・ピカソ(1881-1973)。スペインの港町に生まれた画家は19歳のときパリに出て、大胆な冒険心で伝統をくつがえしながら、新しいアートの世界を切り開きました。尽きることない旺盛な制作意欲は、絵画のみならず版画・彫刻・陶芸など幅広いジャンルに及んでおり、91年の長い生涯を通じて膨大な作品を生み出しています。
ドイツの実業家の家に生まれたペーター・ルートヴィッヒ(1925-1996)は、ピカソの芸術に深い造詣を持つ収集家でした。大学で美術史を学んだペーターは、イレーネ夫人とともにピカソの収集に取り組み、一大コレクションを築きました。880点にもおよぶこの作品群は、現在、ドイツ・ケルン市のルートヴィッヒ美術館に所蔵されており、世界最大級のピカソ・コレクションとなっています。
本展では、ルートヴィッヒ夫妻が収集した作品群の中から代表作《手を組んだアルルカン》など約100点を精選し、いまだ底知れぬこの天才の真実に迫ります。またピカソの友人のロベルト・オテロがピカソや家族の姿などを撮影した30点の写真を通じて、巨匠の素顔や息づかいに触れることもできます。20世紀最大の巨匠、パブロ・ピカソの比類なき芸術世界をぜひこの機会にご堪能ください。このたびの展覧会は、熊本日日新聞社の創立65周年を記念して開催されます。