およそ15世紀に始まる大航海時代、中国陶磁は各地の需要に巧みに応じ、その数と美しさで他を圧倒する有力な貿易品となり、ヨーロッパからアジア各地におけるやきものの文化に大きな影響を及ぼしました。中継貿易地として栄えたタイやベトナムなど、インドシナ半島のやきものもこの流れをうけて発展します。
今回は、これらインドシナ半島のやきものから代表的な青磁・青花・五彩を中心にご紹介します。景徳鎮窯や龍泉窯など、世界に名を馳せた中国陶磁の造詣を積極的に取り込んだ様子が見てとれるでしょう。その一方で、完成度が高く、洗練された中国陶磁とは異なり、仏教文化を思わせる独特の形や、豊かな自然に発した素朴で生き生きとした文様表現に、親しさと温かさがあふれ、大きな魅力となっています。
主な出品作品
青磁蓮花文台鉢 タイ・シーサッチャナーライ窯 15世紀 個人蔵
青磁蓮花文稜花平鉢 タイ・シーサッチャナーライ窯 15世紀 山田義雄氏寄贈
白濁釉三耳壺 タイ・シーサッチャナーライ窯
伝愛知県宝飯郡一宮町金沢出土 15~16世紀 竹下利夫氏寄贈
青花魚藻文大皿 ベトナム 15世紀
五彩草花文皿 ベトナム 16世紀 個人蔵(重要美術品)