タイトル等
木もれ陽プロジェクト 木村崇人展
会場
山梨県立美術館
会期
2006-08-09~2006-10-29
観覧料
無料
概要
「木村崇人」は「地球と遊ぶ」をテーマに、ジャイロの原理を利用した「ジャイロ自転車」、鳥が風向きに従って一定の方向でとまる習性を利用した「海の風見鶏」など、地球上のどこにいても身体で感じることのできる作品を創作している。今回展示されている「木もれ陽ドーム」は、2002年からはじまる一連の「木もれ陽プロジェクト」のひとつで、星形に切り取った光源に木の枝や様々な形をした小さな孔をかざし、星形の木もれ陽をつくるものである。彼はフランス留学の体験を通じて、自己や特定に地域に依拠したテーマは、風土や生活習慣が違えば共有されないことに気づく。そうした普遍的なテーマとして選んだのが「地球を感じること」だった。
はたして地球という存在は、すべての人に共有され得るものだろうか。ひと口に地球を感じるといっても、最終的に作品が鑑賞者に受容される、つまり鑑賞者が「身体で感じる」かぎり、受け手の個人差によって普遍性が失われるのではないだろうかという疑問は避けられない。しかし木村自身も言及しているように、メルロ・ポンティによれば、自然と全宇宙的な一局面の現われであるが、その中立的な存在である自然現象と私たち人間の間にさえ、つねに一定の距離感が保たれており、その距離は「身体」という装置によって調節される。したがって、「身体」という個人的な媒体を介しても「自然」を知覚する普遍性は失われない。偶然にも木村は「木もれ陽ボックス」や「ジャイロ自転車」などの作品を「エネルギー認識装置」と呼んでいるが、これに加え私たちの身体それ自身も「地球と遊ぶ」のに不可欠な「装置」なのであろう。
普遍性の追求は、きわめてモダニズム的な志向であり、アートの舞台が世界に拡がったいま、地域にとらわれず作品が受容されることは美術家にとって不可欠な要素だろう。しかし、その普遍性それ自体を反省するとき、木村の行き着いた解決法は、自然との交感という、きわめて有機的で平和的なものだった。彼はそれを「遊び」という言葉に換言しているが、感官つまり身体を介在することによって成立する作品を表現するには、まさに的確な言葉であろう。かつては他者に向けられていたまなざしが、いまは地球という自分を包含する唯一の宇宙に向けられている。そうした自分自身に還元されるからこそ、肉体的な温かさと厚みのある作品が創られるのかもしれない。
ホームページ
http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/contents/
展覧会問合せ先
055-228-3322
会場住所
〒400-0065
山梨県甲府市貢川1-4-27
交通案内
●中央自動車道甲府昭和インターより
・料金所を昇仙峡・湯村方面へ出て200m先を左折、徳行立体南交差点左折、アルプス通りを約2㎞直進、貢川交番前交差点を左折、国道52号を約1㎞左側。

●JR中央本線甲府駅より
・甲府駅バスターミナル(南口)⑥番乗り場から発車するすべてのバスで約15分、「県立美術館」下車。
・タクシーで約15分。(料金1,600円程度)

●昇仙峡より
・敷島営業所行バスで「県立美術館」下車
ホームページ
http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/
山梨県甲府市貢川1-4-27
Webcat plus 展覧会タイトル等から関連資料を連想検索