中世は時代的に平安時代末期から戦国時代までの呼び方です。中世というと、一般的には荘園などを基礎に鎌倉幕府や室町幕府を創設した武士や領国などを基盤に戦国の動乱を生き抜いた戦国大名の時代で、世相を反映して民衆救済を説く鎌倉新仏教などが栄えた時代というイメージがあります。しかし、この時代の実態はどうだったのでしょうか。
この企画展では、栃木県内の中世遺跡の発掘調査を踏まえて展示を組み立ててみました。すなわち、武士の活動の拠点となった城郭の世界、商人・職人など庶民が集い活況を呈した宿・市などや農民の集落の世界、及び中世びとの精神の世界に分け、中世都市鎌倉や戦国大名北条氏の小田原・八王子両城跡と下野の中世遺跡の遺構・遺物との対比で展示してみました。中世社会の実態や中世びとの生活の一端をご覧いただければ幸いです。