フランス象徴主義を代表する画家、ギュスターヴ・モロー(1826~1898)。神話や聖書など古典的な物語に主題をとりつつ、そこに自らの内なる感情を表現しようとしたモローは、卓越した想像力で独自の神秘的な絵画世界を編み出しました。宝石のようにきらびやかな色彩でいろどられたその作品は、一世紀以上の時を超えた今もわたしたちを魅了してやみません。
モローの死後パリのアトリエに残された膨大な数の作品は、その建物とともにフランス政府に寄贈され、1903年よりモロー美術館として公開されています。晩年にモロー自身が心血を注ぎ構想したこの美術館のコレクションは、油彩画はもとより、制作過程を生々しく伝える素描なども含み、いわばモローの小宇宙ともいうべき魅力を伝えてくれます。本展はこのモロー美術館の全面的な協力により開催されるもので、《一角獣》《出現》をはじめとする代表的な油彩画48点に、水彩画、素描を加えた計160点により、モローの独創的な絵画世界を紹介いたします。