富井玲子×森大志郎×荒川ナッシュ医:がらんとした企画展示室1Eでのレクチャー・イベント
- 開催終了
- 展覧会関連
- どなたでも
- 日本語
Grand Openings,
"Challenging Mud" as Archive
2011, The Museum of Modern Art, New York
写真:ミン・ティアンポ
Photo: Ming Tiampo
必見!南川史門の移動型作品一点のみで、あとは壁のないがらんとした企画展示室1E(2000㎡)に特別招待。前半はニューヨーク在住の美術史家、富井玲子による『オペレーションから考える荒川ナッシュ医のパフォーマンス:巻き込み型コミュニケーションの底力』と題したレクチャー。後半は、滅多に表に出ないデザイナーの森大志郎が登場して、印刷物のオペレーションについて語ります。荒川ナッシュ医もロサンゼルスからZOOMで参加します。このイベントは日本語のみです。
開催概要
- 開催日
- 時間
15:00-16:30(14:30開場)
- 会場
国立新美術館 企画展示室1E
※「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」会場の企画展示室2Eと異なりますのでご注意ください。- 対象
- どなたでも
- 参加方法
直接会場にお越しください。
- 料金
無料
イベント内容
富井玲子のレクチャー『オペレーションから考える荒川ナッシュ医のパフォーマンス:巻き込み型コミュニケーションの底力』について
アーティストの仕事を〈表現〉と〈オペレーション〉の二つの位相でとらえるとすると、パフォーマンス・アートは、多くの作品において〈表現〉と〈オペレーション〉が一体化しているという特質を持つ。つまり、作品の様態が〈コミュニケーション〉となり、表現する内容と表現を伝達する手段が一体化してしまうのである。この現象は、すでに1950年代から具体や反芸術で始まっているが、21世紀のコンテンポラリー・アートではより顕著な傾向となっている。荒川ナッシュ医のパフォーマンスはその好例であるが、コミュニケーションのプロセスの中で、作家個人が表現を構想するのみならず、協働者とともに表現を現実化し、現場では観客をも巻き込み、ひいては客観的立場にあるべき美術史家までをパフォーマーに仕立ててしまう貪欲なオペレーションをモットーとしている。このことを、いくつかの作品例を具体的に紹介しつつ検証してみたい。
出演者
富井玲子(とみい・れいこ)
美術史家。1988年テキサス大学オースティン校美術史学科博士課程修了。以後ニューヨーク在住、国際現代美術センター(CICA)の上級研究員を経て1992年より無所属で活動。ポスト1945日本美術史研究をテーマにしたグローバルな学術メーリングリスト・グループ「ポンジャ現懇」(2003年設立)を主宰。単著Radicalism in the Wilderness: International Contemporaneity and 1960s Art in Japan [荒野のラジカリズム―国際的同時性と日本の1960年代美術] (The MIT Press, 2016)がロバート・マザーウェル出版賞を受賞、同書をもとに「Radicalism in the Wilderness: Japanese Artists in the Global 1960s [荒野のラジカリズム―グローバル1960年代の日本のアーティスト]」展をジャパン・ソサエティ(ニューヨーク)で企画開催(2019年)。11月に日本語での初の単著『オペレーションの思想―戦後日本美術における見えない手』をイーストプレスから出版した。
森大志郎(もり・だいしろう)
1971年生まれ。美術展や映画祭カタログ等のエディトリアル・デザインを主に手がけるデザイナー。本展の「絵画と子育て」セクションの壁紙のデザインを手がける。森はロバート・スミッソン(1938-73年)や草月会館のアーカイヴに関する仕事をきっかけに、2011年にニューヨークで荒川ナッシュと初めてコラボレーションを行った。日本の美術館を中心にカタログやポスターなどを手がける森の仕事は、硬質でフォーマル、なおかつビビッドなデザインが特徴である。国立新美術館での仕事に「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(2019年)や「マティス 自由なフォルム」(2024年)がある。