ID:11254

木もれ陽プロジェクト 木村崇人展

Venue

山梨県立美術館

Yamanashi Prefectural Museum of Art

Period

August 9 (Wed), 2006 ~ October 29 (Sun), 2006

Exhibition Outline

木もれ陽プロジェクト 木村崇人展 コモレビプロジェクト キムラタカヒトテン

「木村崇人」は「地球と遊ぶ」をテーマに、ジャイロの原理を利用した「ジャイロ自転車」、鳥が風向きに従って一定の方向でとまる習性を利用した「海の風見鶏」など、地球上のどこにいても身体で感じることのできる作品を創作している。今回展示されている「木もれ陽ドーム」は、2002年からはじまる一連の「木もれ陽プロジェクト」のひとつで、星形に切り取った光源に木の枝や様々な形をした小さな孔をかざし、星形の木もれ陽をつくるものである。彼はフランス留学の体験を通じて、自己や特定に地域に依拠したテーマは、風土や生活習慣が違えば共有されないことに気づく。そうした普遍的なテーマとして選んだのが「地球を感じること」だった。
はたして地球という存在は、すべての人に共有され得るものだろうか。ひと口に地球を感じるといっても、最終的に作品が鑑賞者に受容される、つまり鑑賞者が「身体で感じる」かぎり、受け手の個人差によって普遍性が失われるのではないだろうかという疑問は避けられない。しかし木村自身も言及しているように、メルロ・ポンティによれば、自然と全宇宙的な一局面の現われであるが、その中立的な存在である自然現象と私たち人間の間にさえ、つねに一定の距離感が保たれており、その距離は「身体」という装置によって調節される。したがって、「身体」という個人的な媒体を介しても「自然」を知覚する普遍性は失われない。偶然にも木村は「木もれ陽ボックス」や「ジャイロ自転車」などの作品を「エネルギー認識装置」と呼んでいるが、これに加え私たちの身体それ自身も「地球と遊ぶ」のに不可欠な「装置」なのであろう。
普遍性の追求は、きわめてモダニズム的な志向であり、アートの舞台が世界に拡がったいま、地域にとらわれず作品が受容されることは美術家にとって不可欠な要素だろう。しかし、その普遍性それ自体を反省するとき、木村の行き着いた解決法は、自然との交感という、きわめて有機的で平和的なものだった。彼はそれを「遊び」という言葉に換言しているが、感官つまり身体を介在することによって成立する作品を表現するには、まさに的確な言葉であろう。かつては他者に向けられていたまなざしが、いまは地球という自分を包含する唯一の宇宙に向けられている。そうした自分自身に還元されるからこそ、肉体的な温かさと厚みのある作品が創られるのかもしれない。

Admission (tax included)
無料
Exhibition Website
http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/contents/
Exhibition Inquiries
055-228-3322

Access Information

山梨県立美術館 ヤマナシケンリツビジュツカン

Yamanashi Prefectural Museum of Art

Address
〒400-0065
甲府市貢川1-4-27
Website
http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/
Updated Date:2010.9.30
Created Date:1999.3.31