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「名作とは何か?-近代の日本美術」より

会場

愛媛県美術館

THE MUSEUM OF ART,EHIME

会期

2005年6月24日(金) ~ 2005年7月31日(日)

展覧会概要

「名作とは何か?-近代の日本美術」より 「メイサクトハナニカ?-キンダイノニホンビジュツ」ヨリ

6月24日から7月31日にかけて、当館では国立美術館巡回展「名作とは何か?-近代の日本美術」を開催します。東京及び京都の国立近代美術館が所蔵する日本画・洋画・彫刻、約70点の名作を通して、名作とは何か?を考えていただく機会になれば幸いです。
ここに取り上げるのはその出品作品の一つ、大正期の洋画の名作、岸田劉生の≪麗子肖像(麗子五歳之像)≫です。
劉生は1891年(明治24)東京の銀座に生まれました。父の吟香は当時を代表する知識人で、劉生もハイカラな環境で早くから美術や文学に親しんだようです。明治末から大正初期にかけて文学誌の『白樺』が美術の新傾向としてセザンヌやゴッホの後期印象派を紹介したとき劉生がその影響をいち早く取り入れたのは、自然なことだったといえるかもしれません。ところが、やがて彼は後期の印象派からの影響を脱し、デューラーなど北方ルネサンス絵画に強く感化された一時期を経て、写実性を徹底的に追及するようになりました。そもそも日本絵画の近代は西洋絵画の写実表現を学び取ることから始まったのですが、劉生は写実をこれまで以上にもっと厳格に行い、対象の「内なる美」を見なければならないと考えました。いわば明治以来の歩みをもう一度やり直そうとしたわけです。≪麗子肖像(麗子五歳之像)≫はそうした時期に描かれました。
絵のモデルとなった麗子は劉生の愛娘です。劉生は麗子誕生以来その姿を機会ある毎にスケッチしました。そして5歳に達した麗子を油彩画に描いて以来、劉生が逝去する1929年(昭和4)までの間、油彩・水彩画や日本画など様々な形で麗子の肖像は描き続けられました。この絵の場合、まるで古典絵画のように重厚な感じがあります。劉生が当時デューラー画の印刷物を入手して感動し、影響を受けたことを物語ります。麗子が手に持つのは「赤まんま」で、劉生の好きな秋草でした。制作には約20日間を要したといわれます。この≪麗子肖像(麗子五歳之像)≫は、劉生が愛娘を描いた油絵の第一作目であり、1921年(大正10)作の≪麗子像(麗子微笑)≫(重要文化財・東京国立博物館)とともに「麗子肖像」連作の中でも屈指の名作として評価されています。

主催者
愛媛県美術館、東京国立近代美術館
休催日
月曜日
観覧料
一 般:500(400)円
高大生:350(170)円
小中生:150(70)円
高齢者:250円
※( )内は前売券
展覧会ホームページ
http://www.ehime-art.jp/
展覧会問合わせ先
TEL:089-932-0010

会場情報

愛媛県美術館 エヒメケンビジュツカン

THE MUSEUM OF ART,EHIME

会場住所
〒790-0007
松山市堀之内
ホームページ
https://www.ehime-art.jp/
更新日:2010年10月29日
登録日:1999年5月12日