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路上、お邪魔ですか? ROJŌ [shared ground] ― am i in your way?

会場

金沢21世紀美術館

21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

会期

2026年4月25日(土)~9月6日(日)

展覧会概要

路上、お邪魔ですか? ロジョウ、オジャマデスカ?

ROJŌ [shared ground] ― am i in your way?

路上には、自由と邪魔が同居しています。

かつて日本には、公界(くがい)と呼ばれる一定の制度や権力の及ばない自由な空間が存在していました。寺社の門前や宿場町に見られた領域は、移動する人々や芸能を受け入れ、文化や交流を育む装置でもありました。
現代における「路上」は、そうした歴史的空間と完全に重なる訳ではありませんが、所有や統治の枠組みが曖昧で、ときに制度へのレジスタンスによって、路上に自由を見出そうとしてきました。しかし一方で路上は、単に自由や解放の象徴だけではありません。排除の論理によって居心地の悪さや不安定さも抱えてもいます。
本展では、路上をキーワードに紹介可能な作品や歴史的なできごと、さらには言説をふくめ、現代においてますます複雑になる公共性のもつ課題を考えます。
本展の開催は、1986年に発足した「路上観察学会」の創設40周年も契機としています。赤瀬川原平や藤森照信らによって結成された路上観察学会は、意図をもって生み出された芸術作品ではなく、都市と自然とが意図せず生み出した状況を、可笑しみをもって取り上げる「目」を、メディアを通して共有した活動です。そこには路上がもつ豊かさを伝えるとともに、開発によって均質化した都市への批判も込められていました。
「彼女が邪魔だった」 ― これは、2020年に渋谷で起きた路上生活者殺害事件で、加害者が発した言葉です。路上は、所有が曖昧であるがゆえに公序が強調され、時に他者の主観的ルールが衝突する息苦しさを孕んだ空間でもあります。2020年の事件は、公共性の意味を取り違えたときに起こりうる取り返しのつかない暴力を私たちに突きつけました。
それでも、この「自由」と「邪魔」が共存する路上においてこそ、批評的な文化実践が数多く立ち上がってきたのです。本展は、現代美術から歴史的資料、テレビゲームや銭湯、大道芸までをも紹介しながら、路上は誰のものか?をキーワードに、過去の実践から現代の都市に対する批評的なアプローチまでをたどりながら路上の公共性を探ります。批評とユーモアの喧騒に溢れた、路上の芸術に出会いにきてください。

主催者
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
協賛・協力等
【学術協力】路上観察学会
【協賛】株式会社たねや、京都新聞印刷、株式会社セガ、株式会社太陽テント北陸、株式会社中川ケミカル、星野リゾート・マネジメント、株式会社LINNAS Design
【協力】株式会社竹中工務店、株式会社梓総合研究所、北配電業株式会社、北陸電力送配電株式会社、北陸製菓株式会社、日都産業株式会社、鵜川地区ふるさと再発見研究会
【助成】公益財団法人ポーラ美術振興財団、科学研究費助成事業(JSPS科研費)
【後援】現代風俗研究会、日本生活学会、高松市、日本建築学会、北國新聞社

本展は科学研究費助成事業(JSPS科研費)の以下課題の助成を受けて実施しています。……●「芸術作品の『死蔵』をめぐる総合的研究ーヴィジブル・ストレージを公開修復の射程」(課題番号:24K03506 )●「能登半島地震の復興テリトーリオ研究―ポスト近代復興手法のアクションリサーチ」(課題番号:25K01402)●「『気づかない景観』の実践的研究:路上観察学会の手法分析と再現を通して」(課題番号:25K23512)
休催日
月曜日 (ただし5月4日、7月20日は開場)、5月7日、7月21日
開催時間
午前10時 ~ 午後6時
(金・土曜日は午後8時まで)
※観覧券販売は閉場の30分前まで
観覧料
一般1,200円(1,000円) 大学生800円(600円) 小中高生400円(300円) 65歳以上の方1,000円
※( )内はWEB販売料金と団体料金(20名以上)
※本展観覧券は同時開催中の「コレクション展」との共通です
【ウェブチケット】当館ウェブサイトよりご購入いただけます。※日時指定
展覧会ホームページ
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=65&d=1852

イベント情報

開展 !金沢の花環、路上へ贈る祝意のかたち
日程ー2026年4月24日(金)ー5月6日(水)
場所ー金沢21世紀美術館
協力ータカギ造花店
学術協力ー惠谷浩子(奈良文化財研究所景観研究室)
●協賛・協力各社への謝意を示すものとして、金沢の伝統的形式による花環を会場内に設置します。展示される花環は、閉業されたタカギ造花店より最後に譲り受けるもので、消えつつある路上の形式としての「金沢花環」を記録し、紹介する意味もあわせ持つものです。

路上を読む、刷る、売る!郷土本からZINEまで大集合
日程ー2026年4月25日(土)/26日(日)
場所ー金沢21世紀美術館 交流ゾーン及びレクチャーホール
主催ー金沢路上本祭り研究会(オヨヨ書林、高橋麻帆書店、近八書房、ひらすま書房)
●路上を読む、刷る、売る。「路上観察」が都市を読み解くための観察だったように、本をつくることもまた、世界を読み直す“観察”といえるかもしれません。紙と路上の世界に取り憑かれた人たちが一堂に会する“本の路上市場”を2日限りで開催します。郷土本から路上系ZINEまでも扱いながら路上を考えるブックフェアです。

誰がためのストリート?歩くことから考える都市と大地の交わり/せめぎあうところ日時ー2026年5月16日(土)
場所ー金沢21世紀美術館 シアター21
主催ーCOMO×GOMO~交通×まちづくり STUDIO~
共催ー金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
協力ーチームW・研修センター、社会福祉法人石川県聴覚障害者協会
ゲストー池田豊人(現香川県知事、元国交省道路局長)、中島晴矢(アーティスト)
●「ストリート」は、美術の文脈ではイリーガルなイメージとセットで語られてきました。いま、制度の側からも、道の柔軟な発想が求められています。このトークイベントは、政策としての道、ストリートカルチャー、地域社会の三つの視点を交差させ「路上」という公共空間の未来を検討するものです。ゲストは、元国土交通省道路局長で現香川県知事の池田豊人氏。また、ストリートカルチャーに精通するアーティストの中島晴矢氏を迎えます。そして、このイベントを取り仕切るのは、交通やまちづくりに関心をもつ30 代の面々。ストリートと道の対立を超えた路上の可能性を考えます。

路上の防災学 ― 水とまつりのレジリエンス
日時ー2026年5月31日(日)
場所ー金沢市立野田中学校/金沢市役所第二本庁舎1階ロビー
主催ー金沢21世紀美術館
協力ー金沢市、城南公民館
●銭湯はいま、都市におけるコミュニティ形成の場として、あらためて注目されています。本展出展作品《銭湯山車》は、そうした銭湯の価値を、賑やかな祭のかたちを通して伝えてきました。本イベントでは、《銭湯山車》が展示室を飛び出し、実際の地域の祭に参加します。舞台となるのは、野田中校区で行われている地域の伝統行事「たいこ・みこし行列」。百万石まつりの一週間前に毎年開催されてきた、子どもたちのための行事です。この巡行には、能登半島地震後に七尾市一本杉通りで制作された《ちびでか山》も加わり、ともに行列に参加します。また、能登半島地震の際には、銭湯が被災者に開放され、癒やしの場として機能しました。地域の井戸もまた、インフラが十分に復旧しない状況のなかで重要な役割を果たしました。午後には、こうした事例をふまえ、「防災」と「水」という視点から、路上と地域の関係を考えるプログラムも実施します。路上を舞台に、祭と防災、日常と非常時をつなぐ一日となります。

大道芸人、ギリヤーク尼ヶ崎 In 金沢
日時ー2026年6月27日(土)
場所ー金沢21世紀美術館 芝生広場
主催ー金沢21世紀美術館
●展示作家でもある大道芸人・ギリヤーク尼ヶ崎を迎え、金沢21世紀美術館にて特別公演を行います。95歳を迎えた現在も現役として活動を続ける、日本を代表する大道芸人です。投げ銭のみで生計を立てながら路上に立ち続けてきたその姿は、多くの大道芸人から敬意を集めてきました。パーキンソン病の発症後も、新宿、京都、函館、札幌、横浜などで定期公演を継続しています。渋谷駅周辺でのゲリラ公演など、都市のなかで身体ひとつで表現を続けてきたその活動は、路上が「公界」として、だれにとっても開かれた場所であることを、あらためて私たちに思い起こさせます。震災などで亡くなられた方々への追悼の思いを踊りに込めており、一昨年7月には輪島で祈りの踊りを捧げました。こうした歩みをふまえ、本公演では「能登の復興」をひとつのテーマとし、能登と金沢をつなぐ踊りの構成を予定しています。長い時間を路上で生きてきた身体が語る、いま、この場所ならではの大道芸をお楽しみください。

路上観察学会 40周年記念シンポジウム(仮)
日時ー2026年8月1日(土) 13:00〜16:00
場所ー渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
主催ー路上観察学会
協力ー金沢21世紀美術館
登壇ー藤森照信、南伸坊、林丈二、松田哲夫、荒俣宏(予定)
●1986年6月10日、東京学士会館において「路上観察学会」が発足してから、2026年で40周年を迎えます。この間、「路上観察」という言葉は学会の活動をきっかけに社会に広がり、今日では若い世代にも一般語として浸透しつつあります。いまや、路上を観る視線は多様な領域に枝分かれしながらも、確かに継承され、新たな担い手たちによって更新されています。本シンポジウムでは、創立メンバーを招き、発足当時の路上観察の精神を振り返るとともに、それを受け継ぎ新たに展開する若い世代の実践を紹介します。世代横断的な対話を通じて路上観察の現在地を共有し、次の世代に向けた新たな広がりを探る機会とします。

Roads to Repair 能登町鵜川・にわか祭が編み直す、道と暮らし
うかわ研究グループ(岡村健太郎、饗庭伸、木村周平、石博督和、高森順子、後藤亮平、本橋仁)
主催:金沢21世紀美術館、株式会社太陽テント北陸
協力:鵜川地区ふるさと再発見研究会
会場:金沢21世紀美術館 デザインギャラリー
能登半島内浦の港町・鵜川には、家々の間を縫う路地や商店街、かつて港と港を結んだ海の道、都市とつながる鉄道や幹線道路など、複数の「道」が重なり合って存在してきました。道は移動のためのインフラであると同時に、祭りや交流の舞台でもありました。しかし人口流出や産業の衰退、さらに2024年の能登半島地震によって、家屋や道路、暮らしの構造そのものが大きく変化しています。本展示は、地震後に鵜川を訪れるようになった都市計画・建築・文化人類学・社会心理学など異分野の研究者・実践者による、現在進行形の調査を基盤としています。鵜川の夏祭り「にわか祭」は、武者絵を描いた行燈を道の上で曳き、海の女神に奉納する祭礼です。調査を通して明らかになったのは、祭りが人々を再び結び、道と暮らしの関係を編み直す契機となりうるという点でした。本展では、にわか祭の制作プロセスを美術館内で再構成し、実際に行われる制作ワークショップを通して紹介します。人・モノ・記憶の結び直しとしての「道」を可視化すると同時に、その過程を記録し、地域社会のつながりがどのように立ち上がるのかを検証します。文化人類学でいう「メッシュワーク(編み目状の関係)」の概念を手がかりに、祭りと展示が、まちのインフラの一部となりうる可能性を探る、実践的な研究でもあります。

テレビで見る石川の路上 NHK金沢放送局のアーカイブズから
主催:NHK金沢放送局、金沢21世紀美術館
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
入場料:無料
テレビの地方局は、日々撮影されるニュース映像によって、その土地の日常や出来事などが、長い時間をかけて記録されてきました。もちろん、その中には路上を巡る、さまざまな歴史も含みます。こうした映像は、その土地の記憶の宝庫なのです。本企画は、NHK金沢放送局とのコラボレーションで実施します。金沢放送局が、撮りためてきた半世紀におよぶニュース映像、テープの数にしておよそ約14,000本のなかから、「路上」をテーマにセレクトした映像プログラムを上映します。ふだんはニュースとして消費されてきた映像を、あらためて「路上」という視点で見直すことで、かつての街の姿や、人びとの暮らしを紹介します。NHK金沢放送局は、こうした映像アーカイブの保存と活用において、全国の地方局のなかでも先駆的な取り組みを続けてきました。なかでも夕方のニュース番組“かがのと”内のコーナー「懐かしの映像」では、こうした資料を多角的なテーマで再構成し、石川県の近現代史を映像で紹介しています。本展示では、フィルム映像がどのようにデジタル化され、整理され、利用できるかたちへと変換されてきたのか、その舞台裏も紹介します。

会場情報

金沢21世紀美術館 カナザワニジュウイッセイキビジュツカン

21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

会場住所
〒920-8509
金沢市広坂1-2-1
ホームページ
https://www.kanazawa21.jp/
更新日:2026年4月23日
登録日:2026年4月23日