ID:76290
長谷川さち Garden Sachi Hasegawa "Garden"
会場
ヒノギャラリー
hino gallery
会期
2024年3月25日 ー 2024年4月13日
展覧会概要
長谷川さち Garden ハセガワサチ Garden
Sachi Hasegawa "Garden"
ヒノギャラリーでは2024年3月25日(月)より「長谷川さち《Garden》」を開催いたします。
長谷川さちは15年以上石を主材に制作を続ける彫刻家です。弊廊での初個展は2008年、暮らしの中に何気なく存在するものを、作家独自の視点で切り取り生み出された作品によって構成されたその空間は、どちらかといえば、ライフスケールにもとづくものでした。しかし、近年その意識はより外へと向かい、作家自身も「現実のものから、現実にはあるらしいけれど、触れられないもの、その外に行った興味が宇宙にまで広がった」とし、作品とそれらを取り巻く空間や次元の捉えかたにおいて、より深度が増幅していることを認めています。長谷川は、2008年の初個展時に発表したある作品が、それから9年後の平塚市美術館におけるロビー展「長谷川さちの彫刻-レイライン」に展示された際、「設置した瞬間に作品がぴたりとはまり空間が一変した」体験をしており、「作品の印象がまるで違って見えた」と述懐しているのですが、そうした経験もまた、彼女の意識の変化に作用しているのかもしれません。
長谷川はそもそも石を別次元の存在とも捉えており、また、触れられないものや不可視のもの、気配やエネルギー、波動といったことへの関心は、作家活動を始めた頃から一貫して持ち続けております。ただ、それらを通して知覚されるスケールや空間の捉えかたは、まさに宇宙のごとく無限に、より多次元へと拡張していることが、近年の作品や作家の言葉からもうかがうことができます。
しかしながら、特に今回、そうしたことをより意識させるきっかけとなったのは、一聞逆説的にも感じられるのですが、自身の内側で起こっている事象、またそれらを含む身体性だといいます。最近の制作において長谷川は「現実とはおそらく全て自分の内側で起こっていること(思考や感情)が現象化しているなと思い始め、身体との関係、自分の内側が神聖な場であったし、宇宙である」と強く実感したといいます。そこから創出された作品は、当然ながら定義し得ない相変わらず摩訶不思議なものなのですが、思考や感情、潜在意識までも含めた身体性によって現出たらしめたと考えると、言葉で説明できるものでは到底なく、それはもしかすると作家自身であり、またそれをも内包した宇宙なのかもしれません。
目に見えているもの、物質として在るものだけがすべてではないことを、長谷川彫刻は教えてくれます。作品の表面に残された鑿跡からは、その精度や密度の高さとともに、石と作家のあいだで生じた波動を感じることができ、それは同時に作品の内外へと波及し、多次元の世界を示唆的にしています。また、その熱量を持った作品が展示されたときに生まれる場の変化も -作家が平塚市美術館で感じたような -長谷川作品がもたらす魅力のひとつといえるでしょう。
弊廊での個展は約7年ぶりとなり、今回はある種、原点回帰のような展示になると作家はいいます。大型の彫刻では初の試みとなるガラスを組み合わせた作品を含む、新作彫刻約6点とドローイング作品を展観いたします。時間や空間の概念を越え、長谷川さちが導き出した《Garden》へ、是非お立ち寄りください。
- 展覧会ホームページ
- http://www.hinogallery.com/2024/3146/
会場情報
登録日:2024年4月17日