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陶芸の提案2024 Ceramic Proposition
石井 美緒 石山 哲央 一色 智登世 川瀬 理央 木野 智史 下村 一真 田中 野穂 田中 悠 谷内 薫 西 崇 松森 洋駆 三島 寛也 森川 彩夏
会場
ギャラリー白 ギャラリー白3 ギャラリー白 kuro
Gallery HAKU
会期
2024年4月15日(月)ー4月27日(土)
展覧会概要
陶芸の提案2024 トウゲイノテイアン2024 石井 美緒 石山 哲央 一色 智登世 川瀬 理央 木野 智史 下村 一真 田中 野穂 田中 悠 谷内 薫 西 崇 松森 洋駆 三島 寛也 森川 彩夏
Ceramic Proposition
陶芸の提案 奥村泰彦
この「陶芸の提案」展は、ギャラリーが選抜する若手の陶芸作家のグループ展として、2009年に始まっている。今回で16回目を迎える間に、多くのメンバーが入れ替わっている。最も長く参加しているのが一色智登世と谷内薫で、2回目からメンバーに加わっている。この数年はコロナ禍もあり、毎年1名程度の参加・不参加があるぐらいで、陣容はほとんど変化していない。私自身も2014年からこのような文章の依頼をいただいているので、参加して10年目ということになる。といってもメンバーはこれで固定したというわけではなく、全員が毎年呼びかけられて、新しく参加するという意識を多かれ少なかれ持っているのではないだろうか。
制作歴が長くなり、作家としての経験を積んでくれば、各人の作風も固まり、安定してくるものだが、それは作品の形骸化と表裏一体の危険なことでもある。この展覧会では、誰もが毎年何かしら新しい表現に取り組み、昨年、あるいは従来の自身の作品とどこか違った試みを示そうとしているようだ。展覧会自体が長く続いているおかげで、参加歴が長くなった方々は、若手よりもそろそろ中堅と呼ばなければ失礼になっているが、そこにより若い作家が加わることで、全員が実績にとらわれることなく発表できる雰囲気が生まれているようでもある。ギャラリーからは年ごとにテーマが提示されることもあったが、特に作風を変えるような要望があるわけでもなく、また作家同士で示し合わせているわけでもないようなのだが、常に変化を見られる展覧会として、まさに「提案」としての発表の場となっているように思う。
そんなわけで、このように文章を頼まれ、年によっては予め作品の画像をもらえることもあったものの、実際に作品を見てみないと何がなされているのかわからないというのが本当のところである。会期中に作家たちとのギャラリートークを行うことで、その場で話を聞いて初めて作品の意図がわかったり、わからなくなったりという機会が持てるのも貴重な体験だった。そこでは、例えば作品の乾燥に電子レンジを使うとかいったような制作上の実際的な話題から、土を焼くという行為の意味について、岩石等が風化して生まれた土を違う形で元に戻しているという制作に対するとらえ方まで、さまざまな興味深い話を聞くことができた。
ギャラリー白では同様の陶芸作家のグループ展として、もう少し上の世代による「Ceramic Site」展も続けて開催されている。2003年に始まっているので、こちらの方が長く続いていることになる。現代陶芸と呼ばれるジャンルのグループ展を2つ継続して開催し、そこに加わっている作家たちの個展もしばしば開かれているが、ギャラリー白が現代陶芸の紹介を始めたのはさらに以前にさかのぼる。
1979年にギャラリー白を創業した鳥山健氏は、それ以前に勤めていた今橋画廊においても現代陶芸を扱い、走泥社のメンバーの個展をシリーズ化して1978年から開催していた。ギャラリー白で引き継がれて開催された「走泥社シリーズ」、そして「シリーズ土―華麗なる変身」等の展覧会で紹介された作家は20名以上にのぼる。とはいえ、今橋画廊もギャラリー白も、陶芸を専門にしているわけではなかった。関西の現代美術を広く扱っていく中で、陶芸による作品の紹介は必然的にその射程の中に入ってくるものとなっていたのである。
第二次世界大戦後の京都で、伝統的な制度や人間関係の桎梏にとらわれず、独自の造形を追求し始める人たちが陶芸の世界に登場し、四耕会や走泥社といった団体を作って活動し始めたことから、現代陶芸と呼ばれるジャンルが徐々に形作られていくことになった。立体的な造形でありながら、彫刻とは異なった素材を扱う技法が歴史的に精緻なものとなっている領域で、そういった技術に基づきながら新しい表現を生み出すことは、常に挑戦的で実験的な試みだった。誰も見たことのないものを作品として成立させ、それが受容されるためには、一定の時間が必要とされる。その時間に耐え、継続して生み出された作品の蓄積があって初めて、表現は評価すべきものとして認識され始める。その結果として続く世代の作家が登場し、新しい展覧会が開催されるようになるのである。
私自身にしても決して陶芸を専門にするわけではないのだが、現代美術を扱うことが必然的に現代陶芸に関わることを求められるほどに、その領域は確たる広がりを持つに至っている。折しも京都国立近代美術館の開館60周年を記念する展覧会として「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」が開催され、現在も巡回している。若い世代の作家達にも、自身の制作の根源はどこにあるのかを探りながら(それは必ずしも現代陶芸ではないかもしれないが)、成熟と挑戦の両面を意識しながら新しい提案を続けていかれることを願ってやまない。
おくむらやすひこ(和歌山県立近代美術館 副館長)
- 休催日
- 日曜日休廊
- 開催時間
- 11:00a.m. ~ 7:00p.m.
- 土曜5:00p.m.迄
イベント情報
4月15日(月)6:00p.m.より奥村泰彦氏+出品作家によるギャラリートークを開催致します。
会場情報
ギャラリー白 ギャラリー白3 ギャラリー白 kuro ギャラリーハク
Gallery HAKU
- 会場住所
-
〒530-0047
大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル2F - ホームページ
- http://galleryhaku.com/
- 問い合わせ先
- 06-6363-0493 art@galleryhaku.com
登録日:2024年4月3日