ID:73613

システム形象論からポートフォリオ存在論へ
コンセプションアーキテクチャーによる

岡山正規展 Systems and Ontology Post Conceptual Art

Conception-Architecture by OKAYAMA MASANORI

会場

ギャラリー白 ギャラリー白3

Gallery HAKU

会期

2023年5月22日(月)~27日(土)

展覧会概要

システム形象論からポートフォリオ存在論へ
コンセプションアーキテクチャーによる
岡山正規展 オカヤママサノリテン

Systems and Ontology Post Conceptual Art Conception-Architecture by OKAYAMA MASANORI

敵を知らない不幸―サミュエル・ベケット
絵画主義者のための墓標
「ネオ・ダダ」や、構成―コラージュや、産業化した環境の陳腐さへの皮肉な注釈に熱中してきたその他の芸術家たちも、無難な良き趣味の支配を脱してはいない一大抵、彼らこそがとりわけそうなのである。―クレメント・グリーンバーグ

絵画は、絵画にまつわる言説は、それこそ16世紀のヴァザーリから連綿と続き、堅牢な地層を形成している。作品世界も石器時代の洞窟画から数えれば数万年規模の地平を有している。
それに対して、例えば現代アートにおけるインスタレーションなどは、せいぜい70年代、おそらく50年にも満たない歴史と言うのも憚られる継続性しかない。ましてや、その体系的な理論や分析も今後、果たしてどれだけ待てば出て来るかも予測すらできない。
だとしても、絵画の言説とその身体性のみに与するのは、いささかアヴァンギャルドの矜持に欠けるのではないだろうか。クレメント・グリーンバーグは、そしてその「絵画の歴史認識」を信奉する絵画主義者たちは、ジャクソン・ポロックらのオールオーバーの現代絵画にすらイリュージョニズムを発見して、安心しつつ評価出来る指定席を確保しているのだ。このような姿勢を私はアヴァンギャルドの立場から「反動的」とまでは、言わないでも、しかし、現代アートの現状とは齟齬を生じているのは事実であると思う。クレメント・グリーンバーグの数々の評論でアメリカ絵画について言及していることは正統で王道と思うが、古いのである。それは、絵画においての「画面」と「言葉」の関係、すなわち記号論的な論点が欠けているせいだと思う。

抽象絵画ではなぜ駄目なのか
抽象絵画が世界的に再び隆盛している。ある画商によるとアメリカのマーケットにおいて、抽象絵画はそれが懸架される場所を選ばないからだと言う。抽象絵画には、人種、国籍のタブーがないからだ。
私は、抽象絵画にはある構造的問題点があると思う。それは、抽象絵画のモチーフが抽象であることだ。
具象絵画のモチーフはそれが、何であるかがわかる。
万物には、名前がある。名前とはすなわち言葉だ。言葉であると言うことは、言葉の持つ歴史を対象化できるのである。抽象絵画には、これが出来ない。いわゆる言葉の問題が扱えないのだ。抽象絵画は、あくまでもアヴァンギャルドの美術史の内部的なものでしかない。

Conception-Architectureによる
ポートレイト存在論
かって京都市立芸大の学生であった私は、当時の構想設計教室が開いたゼミで関西学院大学フランス学科教授丹治恒次郎氏から面白いエピソードを聞かせてもらった。
教授が友人と一緒にパリのルーブル美術館へ行った時に、そこでドラクロワのショパンの肖像画に出合う。その時、友人は小さく叫んだそうだ。「似ている!」教授は、友人のこの叫びをかなり訝った。「君は、そもそもショパンに会ったこともないのに何故そんなことが言えるんだい?」
疑問に思うのも当然だ。
だが、この友人は肖像画がショパン本人に似ていると言ったのではない。無意識的であろうと意識的であろうと彼は、ショパンの「原像」と似ていると思ったのだ。この「原像」とは、私たちの認識野を覆っている情報の総体が、生み出す「像」である。彼は自分の抱える情報が作り出す「像」に似ていると言ったのだ。この「像」を私達は、イメージと呼んでいる。
しかし、絵画は、どのようなものであれ隠喩過程を経ている。絵画の真実は、この隠喩過程を経て「原像」との遠近でその造形的価値は語られるのだ。
そして、「原像」が作り出すヒエラルキーを覆す事件が起こった。
「写真」の誕生である。「写真」は、このヒエラルキーに属する隠喩過程を経ないのでまさに「原像にそっくりな像」と言う位置を獲得しているのだ。これが、ポートレイトが社会に大量に流通する理由だ。本物に似姿としての「写真―ポートレイト」。その力はドキュメンタリーなどの創造の分野にまで及んでいる。
今回の私の芸術的試みはこの「ポートレイトの存在論」を揺るがす試みの出発点である。
泣きながら退場―サミュエル・ベケット
2023 岡山正規

休催日
日曜休廊
開催時間
11:00 ~ 19:00
(土曜17:00迄)

会場情報

ギャラリー白 ギャラリー白3 ギャラリーハク

Gallery HAKU

会場住所
〒530-0047
大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル2F
ホームページ
http://galleryhaku.com/
問い合わせ先
06-6363-0493 art@galleryhaku.com
更新日:2023年5月24日
登録日:2023年5月24日